隼の言うように焼きたてのおいしさには敵わないが、より味がしみ込んでチェダーチーズのコクが増している。
「だろう?」
得意げにする隼に「はい」とうなずき返した。
砂糖を二本投入してほどよく甘くなったコーヒーも彼の優しさが染みたせいか、さらにおいしさを感じる気がする。
こんなによくしてもらい、優莉はこの恩をどう返したらいいだろう。すぐにはこれといったものが思い浮かばず、サンドを噛みしめながら考え込んだ。
「そうだ。大事な話があるんだった」
先に食べ終えた隼はブリーフケースから取り出した書類をテーブルに置いた。なにかの申請用紙のように見える。
「ここは芸能人も多く住んでいるマンションなんだ」
「えっ、そうなんですか」
同じ建物の中に有名な人が住んでいると聞き、わけもなくテンションが上がる。



