仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。



「…お母さんが数ヶ月前にね死んじゃったんだけどねひとりぼっちになったんだってあの時は思ったから、なんだか嬉し……っ」

“嬉しくて”
そう言おうと思ったのに、龍太さんに抱きしめられる。

「……だけどね、」

抱きしめられながらまた言葉を繋げた。きっと、外で聞いているであろう彼にも伝わるように……。

「…私、寂しくないんだ。家族はいなくなっちゃったけど、陽平くんに出会えたから。龍太さんが作ってくれた日向会のおかげで出会えたんだって今は思ってる……。
もしかしたら、日向会がなかったとしたら陽平くんは総長になってなかったのかもしれないんだもん……そしたら出会えなかったかもしれない。」

沢山の奇跡が重なった……だから私たちは出会った。

「…そっか、」

「だから、ありがとう…私のこと探してくれて。」


もう寂しくない。それだけははっきり言える。
もう1人じゃないんだって思うから。私の隣には陽平くんがいてくれるから。