「……ここか?」

スマホに表示された地図を見て、俺は首を傾げた。

住宅街の一軒家。

昔なじみではあるけど、今の家を訪ねるのは初めてだ。

知っている名前が書かれた表札を見て安心する。

よかった。間違ってなかった。

インターホンを鳴らすと、すぐにドアが開いた。

俺が来ることは知っていたからいちいち確認しなかったんだろうけど不用心だ。

「よー、来たな。コガサク」

「呼ばれたからな」

休日に俺を呼び出したのは玲哉だ。

今まで、玲哉がうちに来たり用事ついでに外で逢うことはあったけど、呼び出しとはこれいかに。

「何かあったのか?」

「特にはないけど、たまにはと思ってな。あがってあがって」

玲哉に言われて、藍田家に足を踏み入れる。

「二階の突き当りが俺の部屋だから入ってて。飲み物持ってくから」

「わかった」

二階……少しだけドキドキしながら階段をあがる。

うちはマンションとアパートの中間みたいな感じで、俺も部屋があるけど、家の中で階段はないからちょっとテンションあがる。

小学生みたいだけど。