――朝、制服も髪も整えた自分が映る鏡に問いかける。

「今日もやれるね? 水都」

「うん。大丈夫だよ、水都」

自問自答する。

毎朝のルーティーンだ。

わたしは別に二重人格とか、自分の中にもう一人の自分がいるとかではない。

ただ、わたしはわたしを保つために、自分で自分を確認する必要があった。

「おはよう、父様、母様」

母屋の居間に入ると、父様と母様がすでにいて、二人で朝ごはんの準備をしていた。

「おはよう」

「おはよ、水都」

はあ~母様今日も可愛いっ。父様は完璧っ。こんなお二人に育ててもらったわたしは、この上なく幸せ者だっ。

「水都、今日はお母さん、水都の学校の近くで仕事だから帰り待ち合わせしようか?」

「うんっ!」

やったー! 母様と帰れるー! 

……はっ! もし今日もコガサクくんと一緒に帰ることになったら紹介しちゃおうかな? 高校で一番親しくさせてもらっている人です、って。

ひとりにやにやしていると、父様が母様に何か耳打ちしているのが視界の端に映った。

何を言っているかまではわからないけど、にやにや妄想は止まらない。

コガサクくんなら、玲くんが仲良くしている人だから母様たち的にも大丈夫だよね。

と言うか、玲くんの言う通りめちゃくちゃジェントルだし。