「この人と同じ学校。さすがに絡まれてるの見たら手助けするだろ」

「やられたのこっちなんだけど⁉」

「うん、まあそれはそうなんだけど。藤沢さんから喧嘩売ったの?」

見ていたから絡んできたのが向こうとは知っているけど、一応訊いてみる。

「えと、なんか一緒に来いって言うから嫌だって言うついでに一発蹴った……くらいです」

………嫌だって言うついでに蹴られたのか、今腹押さえてうずくまっている奴は。可哀想だ。けど、

「藤沢さんに声かけてなかったらそんな目に遭ってないんだよ。そこはわかる?」

「わ、……かるけど、そういう話じゃねえだろ! なんだよ、コガサクの女かよ」

「それはない。同じ学校の人が絡まれてるから助けただけだし」

藤沢さんでなくても割って入っている。

たぶん絡んだ方と絡まれた方、どっちにも逃げられるだろうけど。

「お前の女じゃないんなら――」

「なくても関係ない。うちの学校の奴に手を出すな。金輪際だ。ほかの奴にも言っとけ」

手を水平に突き出して、一番騒ぐ奴の喉元に突きつける。