わたしの……味方? すぐにぽんと頭に浮かんだのは作之助だった。

いや、桂花さんはまだ作之助と逢ったことないから知らないはずだ。だったら羽咲ちゃんに由羽くんに総真くんに景くんになゆちゃんに玲くんに、露季ちゃんに快理ちゃんに……一応ユイも味方かな? おお、割といるな。

「当然、わたしもお嬢様の味方ですわ。古参のじじい連中のいいようにはさせません」

「桂花さんって時々口調悪くなりますよね」

握りこぶしの桂花さんに突っ込んでしまった。

「反抗期が長かったものですから。実は家出したこともあるんですよ」

「家出っ? 桂花さんが?」

桂花さんは、わたしが小学生の頃から本家でお仕事をしてくれている。

その前は外で働いていたって聞いているけど。

「ええ。しがらみの多い藤沢が嫌で嫌で仕方なかった学生時代なんです。高校三年でしたね、ある日ぷつんときちゃいまして。電車に乗って、ただただ遠くに行きました。中学の頃向こうが転校してからも交流のあった友人がいまして、その子にだけは家のことも話していて……二日ほどかくまってもらいました。二日間家から逃げて、押し寄せてきたのは解放感ではなく罪悪感でした。いつ見つかるかとビクビクしていたのではありません。家に残してきた家族が心配で仕方なかったのです」