「え、ほんとなんで? どういうこと?」

今度はわたしが前のめりになって訊いていた。

「さーて。なんだろうね~」

羽咲ちゃんは余裕ある様子でかわしていく。

く、くそう……っ。でもわたしの方がからかいの前科あるからヘタなことは言えた立場じゃない……。

「羽咲ちゃん」

低い声で睨むと、羽咲ちゃんは顔の前で手を合わせた。

「ごめんごめん。いつか水都ちゃんにやり返したくて。高校のお友達はどう? 露季ちゃんと快理ちゃんだっけ?」

「うん、二人ともいい人。……なんか羽咲ちゃんと一緒にいた人と知り合いだったみたいだね?」

「菜原彩加(なのはら さいか)ちゃん。同じ空手部なんだけど、中学でもやってて、水都ちゃんのことも知ってたよ」

なのはらさん? 知らない名前だ……。

「わたし空手やってないよ?」

羽咲ちゃんが部活仲間でもあるってことは、お友達になったのはその縁が繋いだってことかな。

「私の試合の応援に来てくれてたでしょ? それで憶えたんだって。と言うかかなり注目の的だったみたいだよ、水都ちゃん」