……結局。

急いで昇降口へ降りると、その先に先ほど屋上から見送った背中を見つけた。

一応、一応念のため……。

どうせ俺がいつ帰ろうが気にする者はいない。少しだけ様子を見よう。

そう心の中で言い訳をして、藤沢さんを離れた場所から追うことにした。

……尾行と言うか、ストーカーとか思われたら死にたいくらいだが……。

とか一人でぐるぐる考えていたら、案の定すぎる展開になっていた。

藤沢さんがナンパされている。

思わず塀の影に隠れてこっそりうかがってしまった。

男が二人、他校の制服だ。

見た感じ真面目そうというよりはちょっとチャラい風体で、俺みたいな不良ではなさそうだけど……あ、殴った。うわ、もう一人には中段蹴り喰らわした。そして逃げた。

……まじか。言っていたこと全部本当だった……。

えーと……どうすりゃいいんだ、これ……。

「くっそなんだあの女っ」

「見た目だけの中身暴れ馬かよっ」

「ね、おにーさんたち」

藤沢さんに殴られて蹴られての散々な目に遭った二人がうずくまっているところに出て行って見下ろした。

目つきの悪さを最大限使って。

「こ、コガサク……っ⁉」

「お願いがあるんだけど、聞いてくんない? あ、だいじょーぶ。俺喧嘩嫌いだから、何もしなかったら殴ったりしないから」

わざとらしく笑って見せると、二人してひっと息を呑んだ。

……さすがに傷つく反応。