「ありがとうございます。では、俺はこれで失礼します」

「えっ。お茶くらいしてこーよ、作之助」

水都さんの父様に答えて立ち上がると、水都さんが残念そうな目で見て来た。

「そこまでお邪魔出来ないよ。水都さんもせっかくご両親と過ごせるんだから、時間大事にしてね。あと、次は山手さんと常盤さん連れてきてね」

暗に、もう俺は呼ばないでねって意味だ。

だってこれ以上水都さんの父様に睨まれたくない。

やっぱり誤解するよ。娘が最初に連れて来た友達が野郎とか、娘が騙されていると疑うよね。しかも極悪ヅラ。

「そうするけど……」

渋い顔をしたままの水都さんだけど、俺はここで退散する気しかない。

水都さんの父様と母様に頭を下げる。

さて、俺も今日の任務終わりだ。

ずっと見守っていた桂花さんにも頭を下げると、桂花さんが「お送りいたします」と先に立って歩いてくれた。

よかった……この家大きすぎて、ひとりで玄関までたどりつけるか不安だったんだ。

歩きながら、桂花さんが口を開いた。

「作之助さん、旦那様のことお怒りにならないでくださいね?」

「もっともな心配だと思います。いきなり俺みたいなのが来たら驚きますよ」

「作之助さんはよい方だと、私も思っております」