教室のある階の廊下を歩いていると後ろから呼びかけられた。
俺のこと『作之助』って呼ぶのは学内では水都さんだけだ。
……現在、水都さんの親友の司さんとの距離感を測っているところだ。
総真にキレた水都さんだから、その親友さんにはそう近づかない方がいいのかなっていうのと、『見るな』って牽制してきた総真の彼女さんだから近づかない方がいいのかなっていうのと。
そういやロクに顔を見る暇なかったな。
見たら総真に怒られそうだから見なくてよかったのか……?
「おはよー水都ちゃん」
「おはよう露季ちゃん! 昨日はごめんね」
「私は気にしないで」
「作之助も、ごめんなさい。おはよう」
「もういいよ。おはよう」
水都さんが深く頭を下げて来たので、俺もお辞儀をした。
「……なんか二人ってノリが似てるよね。空気が近いというか」
それを見ていた山手さんが、平坦な声で言って来た。
……そういうものなんだろうか。
「え、そうかなあ」
なんで照れるの、水都さん。



