俺一人の食生活だから、米は一度に多めに炊いて冷凍しておく派だ。

「……何そのカオ」

冷蔵庫の前に行くと、母親がびっくり顔で固まっているのに気づいた。

「いや……あんたからそんなこと言われたことないから……って、料理出来たの?」

「いやでも覚えるよ。で? 食うの? 食わないの?」

「……食べる」

母親はまだびっくりが残っているのか、反応にタイムラグがある。

夕飯に作った肉じゃがと味噌汁をあたためなおす。

ご飯はおにぎり型にしてラップにくるんでいるから、それもひとつ解凍。

味噌汁以外は全部電子レンジさん任せです。

ダイニングテーブル……長いこと一人でしか使っていなかったところに、母親が座っている。

あ、やべ、母親の箸あったっけ……戸棚を探すと未開封の箸が二膳あったから、一膳開けて出す。

「どーぞ」

俺としてはいつも通りの調子でテーブルに並べると、母親はぎこちない様子で「ありがとう……」と言って来た。

それから何を思ったか俺を呼び止める。