(は、恥ずかしすぎる………)

真っ赤になっていることが一目瞭然な顔を伏せて、「やっぱりやめます」と言おうとカウンターのスイーツに手を伸ばした時―――

「これも一緒にお願いします」

低い声と同時に、目の前をブラックコーヒーの缶が横切り、コトリと音を立ててスイーツの隣に置かれた。

斜め上を振り仰ぐと、よく知った顔が。

「え、な、南雲(なぐも)!?」

「おぅ、お疲れ。あ、支払いはこれで」

南雲はICカードを店員に向けて持ち上げると、レジのカードリーダーに当てた。
ピロンと音がして店員がスイーツを小袋に入れているうちに、彼は缶コーヒーを横から攫うように掴むと、そのまま出入り口の方へ向かって歩いていってしまった。

「ちょっ……」

店員が差し出した小袋を慌てて受け取って、その後ろ姿を追った。