ぜんぜん足りない。


先に口を開いたのはこおり君。



「なんでその話、今すんの」

「へ……」

「一緒に住んでた……から何? それおれに関係ある?」


どうでもいいって感じの、抑揚がない声。

思わず顔を上げたら、やっぱりどうでもいいって顔してた。



「たしかに、こおり君には関係ないかも……。でも、わたしが話しておきたいから聞いてほしくて……」


この反応は想定内。
いちいち傷ついてちゃあとが保たない。

気持ちがブレないうちに、簡潔に伝えてしまおう。


「それでねっ、その人のことが一時期……す、好きでね……? それで今日、いきなりその人が家に帰ってくるとか言ってね、とりあえずわたしの部屋貸すことにしたんだけど……」



文章組み立てるの、こんなに下手だったっけ?
自分でもびっくりするくらい話がまとまらない。


「……うん。で、何?」


こおり君は容赦なく攻めてくる。
早く話を終われと言わんばかりに。