ぜんぜん足りない。


「学校じゃ無理」

「なんでっ?」

「家だけで事足りるじゃん」

「足りないよ! ぜんぜん足りないから言ってるの!」



つい、こおり君の肩をつかんで、その勢いのまま押し倒してしまった。

特別力を込めたわけじゃないから、抵抗しようと思えばできるはずだけど、

こおり君はわたしに押されるまま、床に仰向けになる。



「……襲う気?」


にやりとあがる口角。

余裕たっぷりのその表情を、崩したいだけなのに。



「こおり君が足りないんだよ」

「……ソレ誘ってる?」

「え?」

「おれ、桃音に手出していーの?」



こおり君の手がこっちに伸びてきた。

「どけ」って振り払われるのかと思いきや、その指先は、わたしの制服のブラウスに触れて。



──────パチッ。