「えっ、くれないの……? なんで?」

「食ってきたんでしょ。みっちーと」


「食べたけどっ、あのカフェのプリンね、すごい高いわりに量がめっちゃ少なくてね、お腹ぜんぜん満たされてないの」

「んなの知らない」


ビニール袋をひょいっと持ち上げて、背中を向けるこおり君。



「こおり君待ってよ、一緒に食べよう?」

「食べない」

「わたしと食べるために買ってきてくれたんでしょ?」

「だから。桃音はもうプリン食べてきてんでしょ」

「だからぁ! わたしはカフェのプリンじゃまだお腹満たされてないって言ってるじゃん!」


だから、の応酬。買ってきてくれたものを、一緒に食べたいだけなのに。



「こおり君のわからず屋!」


そう叫んだら、冷めた顔がこっちを振り向く。

笑顔はもうなかった。




「わからず屋はどっち?」