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『はあ? 桃音ちゃんの彼氏って下の名前も呼ばせてくんないの?』


溜まりに溜まった我慢を爆発させてしまった。


こおり君の名前こそ出さないものの、学校で内緒にしてなくちゃいけないこと、

キスもハグも通話も、わたしが誘わないとしてくれないこと、ぜんぶ吐き出した。



「“名前で呼ばない”って、約束させられたの。他の女の子には下の名前で呼ばせてるんだよ! わたしだけなの、ぜんぶ、いろいろ我慢してるの……」

『んー、そっか。桃音ちゃん頑張ってるんだね。えらい、えらい』



今まで誰にも相談できなかったから、つい喋りすぎてしまう。

そして、みっちーが優しく聞いてくれるから、うっかり泣きそうになってしまう。



『でもねー、どっちかが我慢してる時点で、もう終わってると思うなあ、オレは』


「え……終わってる?」


『悪いけど、今の話聞いたら、彼氏が桃音ちゃんのこと大事に想ってるとは思えないんだよね。潔く別れたほうがいいよ』