ぜんぜん足りない。



夜職をしていたおかげで金はあったらしく、身なりだけはきちんとさせられていたおれが、DVを受けてるなんて気づく人は誰もいなかった。



アザは決まって、服で隠れる部分に付けられた。


表向きは、女手一人で息子を育てている一生懸命な母親として周りに映っていたと思う。


顔だけはよかった母親にはたびたび恋人ができていたけど、おれがいると知れた瞬間に、ことごとく捨てられていたらしい。




『お前なんか、生まれてこなきゃよかったのに』



……ああ、ごめんね。

おれだって、生んでほしくなかったよ。