ぜんぜん足りない。


──桃音に話していないことが、いくつかある。

桃音と出会う前から、この人と……桃音の母親と知り合いだったことも、その中のひとつ。


「光里くんごめんね。最後まで守ってあげられなくて」

「いや。バレるのは時間の問題だったし……。おかげで高校生活を2年間も楽しませてもらえて、本当に感謝が尽きません」



立ち上がって、深々と頭をさげる。

感謝が尽きないというのは本心だ。


おれが少しのあいだだけでも自由になるための、手助けをしてくれた。