ぜんぜん足りない。






──────それが、

こおり君との最後のやりとり。




次の日、学校にこおり君は来なかった。



その日の終礼で


『郡は転校することになった』と


担任の先生がみんなに伝えるまで、気づかないフリをしていた。




教室がざわつく中、

頭が真っ白になって、涙も出なかった。


うそだ。

ぜったい……うそ。



気づいたら誰よりも先に教室を飛び出してて、無我夢中でマンションまで走っていた。


息を切らしながらたどり着いたマンションの部屋には、もう何もなくて…誰も、いなくなっていて。



なんで、どうして。

そんな言葉すら届かない。



……もう、会えないの……?



力が抜けたまま、ゆっくりとスマホを取りだした。



こおり君のアカウントは消えていて、

相手の名前が削除されたトーク履歴だけが、虚しく残っていた。