上半身を起こしたとたん、ぐらんと脳が揺れる。
あ……。
「もう少し休んでいけば」
「……でも」
「なんか、少しでも食べれそうなもの胃に入れといたほうがいいんじゃないの」
「……」
病人だから、そんなに優しくしてくれるの?
「でも、食欲ないよ……」
「……プリンは?」
「え?」
「プリンなら食える?」
「それなら、食べれそうだけど……」
「わかった」
短く返事をしたこおり君。
部屋を出ていって、30秒くらいしてまたもどってきた。
大きな手に握られたものは、紛れもないプリン。
思わず凝視してしまう。
「こおり君、プリン……」
「これなら食えるんでしょ。好物だもんね?」
ピリ…とフタの部分をめくってみせる。



