ぜんぜん足りない。



えええ、なんてこった。



「みっちーのパパ、社長さんなの?」

「だからと言ってオレがすごいわけじゃないからねー。あんまり他人には言ってない」

「へえ。みっちー大人……」



言われてみれば納得する。

性格もちゃらいし、制服の着方もちゃらいのに、どことなく品があるんだもん。

しかも、成績もわりと上位だった記憶がある。



「そういや、桃音ちゃんは喉治った?」

「あ……、うん、大丈夫そう」


心配をかけたくなくて嘘をついてしまう。

みっちーは信じてくれたみたいで、「そっか。よかったね」と言って八重歯を見せた。


喉はもう大丈夫……。

だけど、全身はだるいまま。

寒気はないものの、このまま授業を受けるとなるときついかもしれない。