ぜんぜん足りない。



「俺がいなくなんの寂しー?」

「そりゃあ。だって、また家にひとりになるんだし」

「また停学になったら帰ってきてやるよ」

「いや、それはだめ! だけど、ときどきは連絡してよ」

「気が向いたらな」



そう言って律希はバッグに視線を戻す。

荷造り作業をなんとなくじっと見つめる。


やっぱり、律希が暴力で停学になったなんて信じられない。


昔からやんちゃ系ではあったけど、意外と真面目で派手な問題を起こすこともなかったし、嫌がらせを受けている子がいれば迷いなく助けに入るくらいのヒーロー気質だった。


それが今になって変わるとは思えないし……。



「律希って、ほんとに停学で帰ってきたの?」

「はあ? そう言ったし、それ以外ありえねぇーだろ。学校さぼってお前にわざわざ会いに来てやったとか思ってんの?」