ぜんぜん足りない。



那月ちゃんの悪口をコソコソ言ってるあの子たちには怒りを覚えるけど、それとは別のところで、こおり君の那月ちゃんへの気持ちが冷めないかな……なんて、ちょっと期待したりして。


ああ、恋したらわたしもイヤな女になるんだ。

いやだなあ。



「あ、桃ちん。みやこちょっとトイレ行ってくるね!」


ミヤちゃんが手を上げて駆けていく。

なんとなくその背中を見送っていると、ミヤちゃんと入れ違いで、那月ちゃんが入ってきた。



今、登校してきたみたい。

──────隣にこおり君の姿はなくて、ちょっと安心。


……したのもつかの間。



「みんなおはよっ」


あの女子軍団たちに声をかけた那月ちゃん。

──────ドクリ。

イヤな予感は当たるもので……



女子軍団は那月ちゃんを一瞥したのち、よそよそしく目をそらす。

誰一人として挨拶を返さない。


……なに、このイヤな感じ。