ぜんぜん足りない。



「桃音チャン健気でかわいーからちょっと喜ばせてあげたくてさあ」


次は、また別の男子。


「どうだった、ファーストキスの感想は」

「バッカ。初めてかどうかはわかんねぇだろ」


ケラケラ、笑い声。

隣のみっちーがガタンっとわざとらしく大きな音を鳴らして立ち上がった。



「お前らいい加減にしろ」


低くビリビリと響いた。みっちー、こんな怖い声も出せたの?ってびっくりするくらい。



「やっべぇ、みっちーが怒った」

「隣になって惚れちゃったんじゃねーの? だってオレ気づいちゃったんだよねー、桃音チャンて、近くで見ればけっこう可愛い顔してんの。冗談抜きで」

「マジ⁉ オレも見たい!」



にやりと笑った顔が近づいてきて、それから守ってくれるみたいに、みっちーが前に立つ。