ぜんぜん足りない。



みっちーはまだなにか言いたそうに見てきたけど、悪いと思いながらも気づかないふりをする。


昨日の夜は、スマホにミヤちゃんからの心配メッセージもたくさん届いた。


「心配してくれてありがとう。ぜんぜん大丈夫!」それだけ打って、やり取りを無理やり中断した。

本当は全部話してしまいたいのに、自分の中のなにかが引き止めるから、ずっと苦しいまま。



「うおっ、やっと来たかよ光里ー」


朝礼間近になって、こおり君はようやく登校してきた。
みんなが向く方に、わたしは絶対視線を移さない。


こおり君を囲むメンバーからケラケラ笑いが漏れて聞こえてくる。


今日も、いつもと変わらず楽しそうでなによりですね、って。心の中でコッソリ毒づいた。


───その直後。



「桃音チャン〜。昨日は光里がひどいことしてごめんねえ?」


ひとりの男子がわたしに向かって喋りかけてきたからびくっとする。