ぜんぜん足りない。



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「そんな顔で戻ってこられたら、責めるに責められねーんだけど……どうした?」


大人しくリビングで待っててくれた律希が、ユウレイでも見てるかのような、ぎょっとした顔を向けてきた。


わたし、そんなにひどい顔してるのかな。



「え、マジで何があった?」

「……」

「あいつ……彼氏に嫌なこと言われたか?」

「……れた」

「うん?」


心配そうに見つめる瞳は優しくて、バラバラになりかけてた心をぎゅっと繋ぎ留めてくれるようなあったかさがあった。

昔の、わたしたちの思い出と重なる。


今の律希は、わたしの“お兄ちゃん”だ。