ぜんぜん足りない。




「こ、こおり君……っ?」


焦ってるわたしとは裏腹に、変わらず無表情なこおり君。

こんなときだって、何考えてるかわからない。



「桃音、」

「っ、うん」

「別れよ」

「………、え?」

「もう飽きた」



頭が真っ白。

何言われてるかわかんない。



別れよう。

飽きた。


文字では理解できるのに。



「なん、で……?」

「飽きるのに理由がいんの?」

「……それは」

「あと、冷めた。なに平気でバラしてんの?」



冷たい目がわたしを見る。

口元だけが薄く笑ってる。


よく知ってる顔なのに、知らない表情をしてる。

知らない人……みたい。