ぜんぜん足りない。



スマホが再び振動したのは、重たい足取りで教室に向かってたときだった。

律希からだと思って、よく見ずに通知からメッセージを開いたのがいけなかった。



【 今どこいるの 】


ドキン! と派手に心臓が音を立てて

自分で登録した『光里くん♡』の文字が痛いくらいに胸を締め付ける。


既読、つけちゃった……。


迷って迷って


【 教室に戻ってる。早退するから 】


そっけない文章を送信する。



いつもと違って、すぐに既読がつくから戸惑ってしまう。

そして……


【 早退? なんで 】


ちゃんと返信がくるから……。


【 律希が熱出したみたいだから、看病しに帰るの 】


意地になってそう返したら、どうしてか目元が熱くなった。


もうやだ。
いつも無視するくせに、こういうときに限ってメッセージ送ってくるのやだ。


期待させないで。

疲れるの……こおり君の考えてることわかんなくて、疲れるの……。