ぜんぜん足りない。



曖昧な笑顔を残して、ミヤちゃんは保健室を出ていった。
姿が見えなくなったとたん、どっと疲労感が襲ってくる。


もうこれ以上嘘を吐きたくないのに、こおり君の言いつけがわたしを支配するんだ。


ちょっと眠ったら少しは気が楽になるかな……。


そう思って上半身をベッドに倒しかけたとき、スマホがブルっと振動した。

画面には、律希の名前。



【 俺風邪引いたかも 】

【 朝からちょっとだるくて、寒気してて 】

【 悪いけど、帰りに解熱剤と栄養ドリンクみたいなの買ってきてくんね? 】



風邪……気付かなかった。

そうだ。

律希がわたしを好きかもしれないって思うと、上手く接することができなくて、今朝は1回も目を合わせてなかった、かも。