ぜんぜん足りない。



「……、……え? なんで?」


鏡越しに視線がぶつかる。


「誰にもバラすなって言ったよね。おれたちのこと」

「……あ、それはそうだけど。でも、」

「ってことで。歯磨きしたらさっさと帰りなね」



それだけ言って、洗面所を出ていってしまう。
残されたわたし。

鏡に映る自分があまりにマヌケな顔をしているのに、それを見て笑う余裕もなかった。



待って待って?

バラすなって、たしかに言われたよ。覚えてるよ。約束破ったら別れるって話だったよね。

でも、律希にもバレちゃだめなの?


2週間したら、いなくなるのに?


学校ではまるで相手にしてくれないのに、お家デートの時間まで奪われたら……

わたしは何を目標に生きればいいの?