ぜんぜん足りない。



──────おかしいと思ったのは、それからしばらく経ってから。

わたしにねだられて、しぶしぶしてくれるキスはいつも短くて、「ハイ、これで満足?」 みたいな顔されて終わるのに。

今日は、なんか……。



「ん……ん…、っ」

いつもみたいに息するタイミングを与えてくれない。角度を変えながらじわり、少しずつ深くなってる……ような。


触れた部分から熱が広がって、体の中、侵食されてるみたい。

映画とかで、毒が回って体が動かなくなるのってこんな感じなのかなってぼんやり考える。



「桃音」

「ん…っ、はぁ……」

「……涙目、」

「だって……息できな───ん、ぅ…」


たぶん意地悪されてる。