ぜんぜん足りない。


言葉を続けたつもりだった。

でも声にならなかったのは


「んぐっ!?」


とつぜん、何かが口元に押し付けられたから。


何度か唇を行き来して離れていくソレ……は、わたしが抱きしめていたこおり君の服だった。



「こおりく────」


こおり君の瞳にころされそう。



「無防備なんだよ」

「………、」

「いっつも隙だらけだしまず人との距離感考え直したほうがいいんじゃないの、おまえいつも男女関係なしに近すぎる」

「ごっ、めんなさ……」


冷たい声で責められるから、内容を理解する前に謝罪のセリフが出てくる。

こおり君がわたしの前でこんなに饒舌になるは初めてかもしれない。とか、場違いなことも考えたりした。



「気を……気をつける、今度から、気をつけます……ごめんなさい」

「いやいや、おまえと“リツキ”くんの問題でしょ」