ぜんぜん足りない。


でも何か言わなきゃ、納得してくれない。
なんて言ったらいいの……。



「……こおり君」

「うん」

「……スしたい」

「うん?」

「キスしたい、……、っ」


情緒不安定にも程があると思う。

キスしたいって言いながらまたぼろぼろ泣き始めるんだもん。

わたしおかしい。

そんなわたしを、こおり君は顔色一つ変えないで見てる。あくまで冷静に状況を見定めてる。



「キスしたくて泣いてんの?」

「……うん」

「“うん”じゃないでしょ」

「それで…いいじゃん」

「はあ?」

「彼女が…キスしたいって言ってるのに……なんでいちいち理由聞くの……っ」


わかってるよ、言ってること滅茶苦茶だって。
それで納得してくれる相手じゃないってわかってる。

ちゃんと言わなきゃキスすらしてくれない。

結局、負けるのはいつもわたしなの。



「さっき、自分の家に戻ったの……ちょっとだけ」

「うん」

「そしたら律希が……律希がね、」

「うん」

「律希に……、……キス、されて」

「………」


それで、──。