ぜんぜん足りない。



わたしどれだけ軽率なの?

アホなの? バカなの?

律希に“友だちの家に泊まる”って言ったのに。



「あ……。友だちの家、このマンションで……」

「オレたちと同年代のオンナとか、ここに住んでねぇだろ」


「さ、最近引っ越してきたんだよ! だから律希は知らなくて当然……」

「へえ。名前は?」

「えっ」

「そいつの名前」

「あ、う……えっと」


焦ったせいで咄嗟に思い浮かばなかった。

そして、律希に部屋を貸すのは今日限りだと信じてやまなかったわたしは……



「……ヒカリ、ちゃん」

こおり君の下の名前にちゃん付けすることにとてつもない罪悪感を覚えながらそう答えた。


「ヒカリ? ふーん」


自分で聞いたくせに興味なさそうな顔をする律希。


「まあいーや。リモコン探すの手伝えよ」


わたしの腕をひいて部屋の中へ促した。