「ミナトー、数学の課題やってきた?」
週明け、いつものように陸が声をかけてくる。
「あー、忘れてた」
「ミナトが?珍しいな」
いつもなら課題とかはちゃんとやる。
だけど、今回はさくらの事を考えていた。
どこか浮かれているのかもしれない。
「そうだ、あの子と会ったんだろ?どうだった?」
「どうって…」
「好きになっちゃったりした?」
「……」
「え、マジ?」
冗談で言ったのだろう。
俺が黙ると陸は驚いている。
俺は⋯さくらの事を好きなんだと思う。
思うじゃなくて好きなんだ。
最初は綺麗な子だとしか思わなかったけど、話してみて、笑った顔を見て好きだと思った。
今まで誰かを好きになった事はあるし付き合ったりもした。
だけど、その時にはなかった気持ちがある。
それは上手く言葉にはならないけど、
すごく、さくらが好きだと感じている。