「さくらって結構ストレートだよね」
「髪の毛の話?」
「そんで結構意地悪」
「ミナトは優しすぎるくらい優しいよね」
「そんな事ないけど⋯」
「あるよ。いつも思ってるもん」
ミナトの頬がほんのり赤いのは噎せてしまったせいか、わたしの発言のせいか。
きっと後者だろう。
「好きだよ、ミナト」
「⋯⋯なんかズルいよなあ、さくら」
「ふふ、ズルくなんかないよ」
だって、わたしだってミナトと同じくらいドキドキしてるんだから。お互い様でしょ?
「ミナトも言ってよ」
「ここで?」
「ここで」
「お嬢様って周りの目とか気にしないの?」
「するよ?誰よりも。でもそれ以上にミナトからの言葉が欲しいんだもん」
「⋯⋯⋯」
「ミナトってサラっとキュンとくる言動するのにいざ言ってって言われると弱いんだ」
「サラッとキュンとくる事なんてした?」
「いつもしてるよ?」
そう言えばミナトは「嘘つけ」と笑ったけど本当だよ。
ミナトにはわたしの心臓を簡単に壊せちゃうくらいいつもドキドキさせられてる。
「言ってよ、ミナト」
こんな事、あなたにしか思わないんだから。
あなた以外からは何の言葉っていらないんだから。
「────さくらの事、好きだよ」
照れくさそうに呟いたミナトに催促したくせに顔を赤くさせるわたしは傍から見ればただのバカップルだろう。
だけど周りの目なんて気にしない。
どうだっていい。
誰にも邪魔されず、二人で過ごす時間はとても幸せで満ち溢れていた。