「だって、わたしとミナトが出会えたのは雨のおかげじゃない?」

「雨の?」

「ミナトとわたしがぶつかって、わたしが生徒手帳を落として⋯もしあの日が晴れてて傘をさしていなかったらぶつかる事もなかったかもしれないでしょ?」

「そう言われてみれば確かに」

「だからミナトと出会わせてくれた雨がわたしは好きだよ」



そう告げればミナトは「なんかそれズルくない?」と無邪気な顔をして笑った。



「だったら俺も雨が好き」

「好きじゃないって今言ってたじゃん」

「変わった。雨が大好きになった」

「髪の毛クルクルしても?」

「うん、好き」



優しい顔をして笑うミナトにきゅっと心が痛くなる。

でもこの痛みは幸せだから感じるものだとわかる。


好きすぎてドキドキし過ぎて、まるで胸焼けした時みたいに胸が熱くなる。



「わたしミナトの事大好きだよ」

「ぶっ!⋯っ、」

「え、ちょっと大丈夫!?」



無意識のうちに発してしまった言葉にアイスコーヒーを飲もうとしていたミナトが噎せた。
ゴホゴホと咳を繰り返すミナトは「あのさ、」と何かを言おうとしているみたいだけれどなかなか咳が収まらずにいて、ちょっと心配になってしまうくらいだ。


それでもやっと咳が落ち着いたらしいミナトは「そういうこと不意打ちで言わないでよ⋯」と弱々しく言うけれど、こっちだって無意識のうちに口から出てしまったんだからどうしようもない。