季節はすっかり梅雨に入った。
「最近雨多いね」
「ニュースでも梅雨入りしたって言ってたしね。暫くはジメジメとの戦いだよ」
「ミナトの髪クルクルしてる」
「この湿気は癖毛には大敵だから」
放課後の喫茶店、窓際に座るわたし達は窓の向こうで降り続ける雨を見てそんな会話をしていた。
この前も思ったけど、フワフワとしたミナトの髪の毛は雨の日は更にフワフワになる。
そしてを普段より若干クルンとする。
それがこの時期の悩みらしい。
といっても言うほど天パってわけではないので緩くウェーブがかっている様に見えるだけなのだけど、ミナトは「このクルクルどうしてくれんの」とボヤいていた。
「ミナトは雨嫌い?」
「んー、どうだろ。雨の日の匂いとかは嫌いじゃないんだけどこのジメジメ感は好きじゃないからどちらかと言えば嫌いかな?」
「わたしはね、結構雨好きなんだ」
大きめの氷とオレンジジュースが入ったグラスの中をストローでかき混ぜてちゅーっと吸う。
「何で?」
不思議そうに首を傾げるミナトにわたしはストローを口から離して、待ってましたと言わんばかりに「だって、」と話した。