ハンバーガーショップに入って、注文をする。

お互いハンバーガーを一つとドリンクを頼んで席へと向かった。



「いただきます」


両手を合わせてからハンバーガーに齧り付く。もちろんミナトの前だから大口は開けずに、ゆっくりと食べ進めていく。



「んー!美味しい」

「さくらは美味しそうに食べるよね」

「だって本当に美味しいんだもん」

「最初会った時もそうだし花見でたこ焼き数回しか食べたことないって聞いた時も本当にお嬢様なんだなーって思ったけど、意外と違ったみたい」

「⋯だから言ったじゃん。わたしはお嬢様っぽくないお嬢様だよって」



生徒手帳を届けてくれたあの日、カフェでそんな様な会話をした事を覚えている。



「なーに?ミナトはもっとお淑やかな方が良かった?」



ハンバーガーを手にしたままジトッとした目を向ければ、慌てる事もなく、緩やかに笑うミナト。


「そんな事ないよ、むしろ今のままの方がいい」

「⋯そ?」

「放課後のファストフードとかも良いんだってわかったし、畏まられるよりも話しやすいし」

「ファストフードだって食べるよ、女子高生だもん」



ミナトと出会う前だって、友達とファストフード店に寄って帰るって事もあった。

お嬢様だからファストフード店とかには寄らないってわけじゃない。