今わたしはすぐに婚約を破棄する事は出来ない。


家のこと、従業員の事、背負うものが多すぎてわたし一人ではどうにも出来ない。


だからこそ、絶対にお父さんを説得しなければいけない。



一つ一つ、進んでいくしかないんだ。




「…ありがとう、ミナト」




繋がれたわたし達の手はどちらの体温なのか、とてもとても暖かかった。


まるで心を繋げている様だった。