継母は事情を知っているが、光莉ちゃんは知らないんだ。だから妹の彼女を傷付けることはしたくない。
 僕は深呼吸をしてから部屋の扉を開けてリビングに入る。

「おはよう」
「おはよう、将|《しょう》君」
「お兄ちゃん。早く食べよう」

 僕が作り笑いを浮かべて挨拶すると、料理を机の上に運んでいた継母と先に席に付いて僕を手招きする光莉ちゃんの姿があった。
 本来ならば幸せな家族の光景となるのだが、僕にとっては地獄でしかない。