松菱くんのご執心

「みかさ、顔赤いよ」


松菱くんが耳元に顔を寄せる。
耳元で囁かかれると、とてもくすぐったい。



逃げるように肩をすくめる。




 ─────かぷっ。



「ひゃっ」


飛び退いて耳を覆う。


 今、み、耳を噛まれた……。


松菱くんに耳を……。頭がショート寸前になる。



「耳……」



「みかさが逃げるから、食べちゃいました」


 照れたように、はにかんで言う。


「ああ、そんな風なそそる顔をされちゃあ、キスされても文句言えねえな」


 トドメを指すそのセリフにびっくりして、反射的に自分の口を手で覆って首を横に振った。


「流石にここではしねえよ」


 頭をポンポンと撫でられる。


耳を覆ったり口を覆ったり、今日はそんなのばかりだ。


こんなんで、これからやっていけるのかな。


ドキドキしすぎて、そろそろ失神してしまうんじゃなかろうか。