松菱くんのご執心






 そんなわたしの気持ちを伝えられずに訪れた文化祭当日は、一般客でたいそう賑わっていた。



 前半にレジを担当し、後半に真結ちゃんと入れ替わる。



自分の服装を姿見で確認し、考えあぐねた。


たった今、コスプレ衣装に着替え終わったのだけれど、これは………どうだろうか。


この扉の向こうでは松菱くんが待ち構えている。

彼曰く、「もし、露出が多い服だったらたら許さない」とのことで不機嫌に言った。



この服は松菱くんの言う「露出度の高い服」の範疇に入ってる気がする。



「着替えたか?」と扉の向こうから声がする。


「着替えた、けど……」



直前になって恥ずかしくなってきた。短く、ふわっと浮いたスカート。


肩が出ていて鎖骨がよく見えるメイド服。これは、流石に羞恥心をあおられる。



「じゃあ、開けるぞ」


「ま、待って」と言う前に扉が空いた。