松菱くんのご執心





 激選したダンボールを抱え、学校へと向かっていた時だった。


後ろから声をかけられた。


「松菱じゃね?」とあまり宜しくないトーンだった。
わたしと松菱くんは同時に振り返る。



「ああ、お前は」と松菱くんは目を細めた。


向こうは三人いて、その三人ともが柄の良くない着崩した制服姿だった。

松菱くんと彼らは知り合いなのだろうか、


「お前、学校退学になって転校してたのかよ。呑気なもんだな」


とひとりが挑発した。




「よくもやってくれたよな、おかげで俺らは書類送検くらったぜ」ともう一人も唸るように言う。



「それはお前らが陰湿なことしてたからだろ。
自業自得だ、俺に難癖つけるのはお門違いだと思うけど」


松菱くんは飄々と応えた。


「俺、もう喧嘩とかしねえから、相手してやれなくて悪いな」