松菱くんのご執心

 彷徨っていた手はわたしの手をしっかりと握りこんだ。


「もーらい」と言って、無邪気に松菱くんは笑う。




 スーパーに着くと、裏口のあたりにダンボールが積んであるのを見つけた。


陳列をしていた店員さんに文化祭でダンボールが必要だと、少し頂けないか、


と大体そういう趣旨の説明をすると



「そうかいそうかい、好きなだけ持っていきな」

と言って、台車もいるかい? とまで気を利かせてくれた。


が、流石にそんなに貰っていくわけでは無いので丁寧に遠慮した。