「ええ? そんなのぴーんと来るかどうかだよ。理屈じゃない、感覚だよ」


もともと体の柔らかい真結ちゃんは難なく開脚し、前に倒れ、得意げに言った。


「難しいことを言う」


「簡単だよ、自分の事なんだから、いいなあ好きだなあと思ったときが、好きになった瞬間だよ」


「ますます分からない」


「あれだけ松菱くんがグイグイきてるんだから、すぐ気づくって」



それに早瀬くんよりも、みかさには松菱くんの方がお似合いだと思うよ、と言い足した。



「なんで爽がでてくるのよ」と笑えば、


「ええ」と真結ちゃんは大きなため息をついた。


「好きになった瞬間か」わたしは味を確かめるように繰り返した。



 松菱くんはいつ私のことを好きになったんだろ。出会って間もない、どの瞬間だったんだろうか。



色々考えたけれど最終的には、明日は絶対筋肉痛だろうな、と思った。