松菱くんのご執心



「………だからさ」


わたしは穏やかに言う。



「嬉しかったよ。松菱くんが自分から、その両親の話に触れてくれたこと」


「だって、みかさにだけは誤解されたくないから……」



 しょんぼりとした松菱くんは捨て犬のごとく頭を下げた。


わたしは目を合わせたくて覗き込む。


「じゃあ、聞いてもいい?」


「うん」