松菱くんのご執心




もともと、言われてなくても放課後は松菱くんの家に寄る予定だった。


どこからか聞きつけたのか、クラスメイトは松菱くんが大怪我をした事を知っていて、

お菓子やらジュースやらをわたしに託した。



 彼ら曰く、


「心配だけど、お見舞いに持って行く勇気はない」とのことだった。


それ自体は全くもって無責任などではない。



ただ単に照れくささと、彼らなりに歩み寄った結果なのだろうと受け取り、微笑ましく思った。



 わたしは、彼らの想いとお菓子を持って松菱くんの家へ向かった。