「今日はね、小春ちゃんの好きなところしか行かないよ」
「ええ、如月くんの好きなお店とか行ってくれないの?」
「小春ちゃんの好きなところは僕の好きなところだからいいんだよ。それに普段は街なんて歩かないから」
「そうなの?」
朝ごはんの後、髪の毛のセットをしてくれると言って、如月くんは私の髪を弄り出した。
どうやらいつものポニーテールではなく、お団子にしてくれるみたいだ。
本当に才色兼備って感じの人だな。
「はい、出来たよ」
鏡で見てみると、ふわっとして綺麗なお団子になっていて、白のシュシュが付いていた。
「このシュシュって…」
「この間、通りがかった店で見つけて買っておいたんだ。きっと小春ちゃんに似合うと思って。だからもらって」
「そうなんだ。髪のセットもシュシュもありがとう!」
「それぐらいはいいよ」
如月くんは急に私の前で跪いて、手をさしのべた。
「お姫さま、どうぞ」
「ふえ!?あ、はい…」
「ふふ、これ一回やってみたかったんだよね」
「それやって違和感ないのは如月くんがかっこよすぎるからだよ…」
本当に、王子様だった。



