如月くんは私をひとりじめしたい



はーはーっと呼吸を整えた後、お母さんは淡々と落ち着いた様子で話し始めた。


「私にはね、生まれたときから許嫁がいたのよ。親が決めた好きでもない男と結婚するのが私の幸せだって決めつけられて生きてきた」


如月くんは初めて知ったかのように、呆然としていた。

お母さんはそんな如月くんの顔を見て、蔑むように乾いた笑いを浮かべた。



「人生に絶望してヤケクソになってた大学生の時に出会ったのがあの人だったわ。あなたみたいにハンサムだったから女子にモテてたわ」



まあ、あの人の方があなたより何倍もかっこよくて優しかったやけどね、と付け足した。